「尿酸」というと、どのような印象を持ちますか?
「痛風」「ビール」「高いと困る」というイメージが初めに出てくるでしょうか。
厄介者のイメージが強い尿酸ですが、実は人類にすごく大きな貢献をしているのです。
そもそも尿酸とは、エネルギー合成に関わるATP(アデノシン三リン酸)や遺伝情報を伝達するDNA(デオキシリボ核酸)が代謝分解される過程で産生される物質です。
多くの哺乳類や魚類では尿酸をさらに分解できるので体の中にたまることはありませんが、人類を含む霊長類は尿酸までしか分解できません。
尿酸を分解する働きを失ったことで、人類は”痛風を患う”という宿命を背負いました。
しかし、実は尿酸は強力な抗酸化物質なのです。
尿酸が体内の酸化物質の産生を抑制することで、細胞の老化を遅らせることができるようになりました。
結果、人類は他の哺乳類に比べてはるかに長い寿命を得たのです。
もちろん、尿酸値が高すぎると弊害もあります。
痛風のほか、慢性腎臓病(CKD)と関連があることも示されています。
尿酸の知られざる正体に触れてみました。
尿酸の作用で寿命が延び、人類の文化や文明の発展に貢献したと考えるのは言い過ぎでしょうか?
一方で高尿酸血症はよくないこともわかっているので、しっかりと管理をすることが望ましいですね。